REPORT活動レポート
1年半にわたる「ジャストラ!」プログラムの最終成果報告会を開催しました!
2023年4月にスタートした「ジャストラ!」は、2024年9月をもって1年半のプログラム期間を終了しました。
9月19日・20日に東京都内で行われた最終成果報告会では、プログラムに参加した10地域10事業者が登壇。1日目は環境省を中心とした招待ゲストのみのクローズドな場で、また2日目は広く公募した一般参加者約60名を前に、それぞれの取り組み内容と成果を発表しました。
発表は、本プログラムの成果などをまとめた「トランジションレポート」(ドラフト版)に基づいて行われました。本レポートでは、各事業者の活動を紹介しつつ、その内容をトランジションモデルとして整理しています。
また、「公正な移行」のおおもとの概念*に照らし、
①環境配慮(経済のグリーン化)
②労働移動(働きがいのある仕事づくり)
③包摂性(なるべく多くの人を巻き込む)
という3つの軸で、各活動の成果を数値化する試みも行いました。
*「公正な移行(ジャスト・トランジション)」はもともと国際労働組合総連合が提唱した概念。環境問題の解決を進める上で、それによって職を失う人々に配慮すること、すなわち働き甲斐のある仕事の創出などを通じて労働力の適切・円滑な移行を目指そうという考え方です。
各事業者の取り組みテーマは以下の通りです。詳しくはぜひ「トランジションレポート」をご覧ください。
■下川町ジャストラ研究会(北海道下川町)
脱炭素社会への移行に向けた下川町の計画の具体案をつくる
■株式会社北三陸ファクトリー/一般社団法人Moova(岩手県洋野町)
北三陸から世界の海を豊かにする(ウニ養殖再生、藻場再生)
■一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン(宮城県石巻市)
誰一人取り残さない、水産業のDEIトランジションを実現する
■一般社団法人つちからみのれ(三重県尾鷲市)
ポスト火力発電所時代の産業転換と次世代人材育成
■交交株式会社(島根県海士町)
持続可能な島内経済の構築(太陽光発電で稼ぎ、産業づくりに投資)
■合同会社RDND(徳島県上勝町)
上勝からKAMIKATSUへ。地域、時代を超えたつながりのトランジションを目指す
■株式会社バリューシフト(青森県八戸市)
中間支援機能のアップデート
■Value way株式会社(兵庫県神戸市・芦屋市)
モノ・お金・知を含む資源循環で食・農・暮らしを再生(コーヒー滓の再利用)
■うすきエネルギー株式会社(大分県臼杵市)
地域の資源を「私たちの電気」にしていく(再エネ活用でエネルギーの地産地消)
■NPO法人阿蘇あか牛研究会(熊本県阿蘇地域)
あか牛の放牧肥育の産業化に向けた研究
▽「トランジションレポート」(ドラフト版)はこちら▽
https://drive.google.com/file/d/19MmJ2-159xTo67ZzSr-N00KSxKti1oX8/view?usp=drive_link
なお、この「トランジションレポート」の完成版は、本プログラムを通じて開発/発展した各団体のビジネスモデル紹介を加えて近日中に発表予定です。
事務局より本プログラムを振り返って
「公正な移行」はもともと「脱炭素社会の実現」を前提とした概念です。が、本プログラム参加事業者はいずれも、脱炭素化に直接取り組んでいるというより、このままでは持続不可能な地域や産業をどのように持続可能なものへ移行(トランジション)させるか、を共通課題として活動しています。
プログラム開始当初は、それらの活動に「公正な移行」の概念をどう落とし込んでいくのか、戸惑いや試行錯誤もありました。しかし、視察や議論を重ねるうち、地方における過疎高齢化や既存産業の衰退という社会問題は、気候変動を含む環境問題と実際には切り離せないことが明確に認識されるようになっていきました。
各事業者の発表からは、本プログラムでの海外視察や各地域の相互視察が大きな刺激となり、今後の事業・活動計画にポジティブな影響をもたらしたことが明らかとなったほか、「公正な移行」という概念のフレームワークで自身の活動を捉え直すことにより、目標の明確化につながったという声も聞かれました。
さらに「ジャストラ!プログラム」事務局では、こうした地方の中小事業者による「持続可能な地域・産業への移行」という挑戦を ①環境配慮、②労働移動、③包摂性の3軸で整理しつつ、労働運動とも環境アクティビズムとも異なる、「日本におけるジャスト・トランジションのあり方」のモデルの要素案・指標案を提示していきたいと考えています。